ガス圧接継手は地震に強い建物をつくる上で重要な役割を担っています。
継手の施工実績ではガス圧接継手が約70%を占めています。(重ね継手を除く)
なぜガス圧接継手が多く用いられるのか、ガス圧接のメリット、デメリットを紹介します。
【ガス圧接のメリット】
・継手の強度が高い
・機械式継手、溶接継手と比べてコストが安い
【ガス圧接のデメリット】
・手作業による工事なので品質管理が難しい。継手の性能が作業者の技能レベルに左右される
・天候に左右されるため、強風や雨の時には施工できない
・こぶをつくるので施工後、縮む
鉄筋継手には、大きく分けて4つの種類があります。
① ガス圧接継手
② 重ね継手
③ 機械式継手
④ 溶接継手
①のガス圧接継手は鉄筋に熱と圧力を加えることで、鉄を溶かすことなく一体化させるものです。施工後、接合部にこぶができるのが特徴です。継手部分は母材と同等、もしくは母材以上の強度を保つことができます。
②重ね継手とは、継手の端部を一定の長さ重ね合わせて継ぐ工法です。特別な技術を必要とせず、鉄筋工の鉄筋組み立て作業として一般的に行われてきました。
しかし、鉄筋同士が接合している訳ではなく、コンクリートとの付着力を使って鉄筋を繋ぐ工法のため、コンクリートが割れてしまうと、鉄筋同士が繋がる力が無くなってしまいます。そのため、太い鉄筋の場合は用いられません。
③機械式継手とは機械的に接合した継手のことを指します。鉄筋の表面をねじ状に加工したものを接合金具で繋ぐ「ねじ節鉄筋継手」や鉄筋を接合金具で繋いだあと、鉄筋と接合金具の間に高強度モルタルを注入する「モルタル充填継手」など様々です。40種類程度あるとされています。天候に左右されることなく施工でき、特別な技術も必要ありません。
④溶接継手とは鉄筋同士を溶接して繋ぎ合わせる工法です。接合部を当て金で囲み、溶接ワイヤと母材を溶かして接合。溶接完了後、当て金をとる工法を「エンクローズ溶接」といいます。溶接時間はガス圧接より短く、接合時の能率が高いことが特徴です。また、ガス圧接のようにこぶをつくらないので、施工後に縮みがありません。
【重ね継手】
メリット
・施工が比較的簡単
デメリット
・太い鉄筋には用いることができない
【機械式継手】
メリット
・施工が比較的簡単
・天候に左右されずに施工できる
デメリット
・コストが高い
【溶接継手】
メリット
・ガス圧接ようにこぶを作らないので施工後の縮みがほとんどない
・施工後の検査が簡単
デメリット
・天候に左右されるため、強風や雨の時には施工できない
・溶接金属部、熱が加わった母材部分、熱が加わっていない母材部分で材質が不均一
特に溶接金属に近い部分は靭性の低い部分が存在することが多い
このように継手には様々な種類があり、それぞれにメリット、デメリットが存在します。
ガス圧接継手は「品質管理が難しい」「施工後縮みが出る」などの弱みをもってしても「低コスト」かつ「高い強度」という強みは信頼を得ています。
これがガス圧接継手が最も高い施工シェアを誇っている要因なのです。
出典:鉄筋のガス圧接入門
鉄筋継手マニュアル
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